スライドの作り方1
スライドの基本
口頭発表では、ほとんどの場合パワーポイントなどのスライドを使ってプレゼンテーションをすることになります。会場には大勢の聴衆がいて、もっている知識も興味も感覚も人それぞれ。より多くの人に研究の面白さや成果を正確に効果的に伝えるためにはどうすればよいのでしょうか。パワーポイントのテンプレートを使って、テキストボックスに文字を打ち込んで、エクセルで作ったグラフを貼り付ければ準備完了!! ではありません。
目次:プレゼンスライドの構造/コンテンツスライド1枚の情報量
コンテンツスライド1枚の情報量
スライドを作り始めるにあたってまず問題になってくるのは、1枚のスライドにどれくらいの情報量を詰め込むことができるのかということです。人によって様々なスタイルがありますが、これまでセミナー発表や学会発表を行なってきた経験から、1枚のスライドでは、1つのトピックに絞り、そしてそれを1分以内に簡潔に話すことが大切です。1枚のスライドにたくさんの情報を詰め込み、長々と話しはじめだすと、聴いている人の多くは眠くなってしまうか、他のことを考え始めてしまいます。
スライドは「見る」資料
発表要旨や研究論文とは異なり、スライドは「読む」というより「見る」資料です。スライドはどんどん切り替わっていくものですので、聴衆が長い文章を読む時間はありません。読むスピードは人それぞれです。全ての人が読み終えるのを待つことはできませんよね。だからといって、書いてあることを読み上げるのもよくありません。読み上げるのであればスライドは必要ありませんし、書いてあることは読み上げてもらわなくても読めるからです。あくまでスライドは発表の視覚的な補助として捉えて、重要なことを簡潔に書くよう心がけましょう。
3つの目安
- フォントサイズは20pt以上
- 文章にして10行が限界(箇条書きの項目も、多くて5項目)
- 余裕をもって1分以内に説明可能
一概には言えませんが、1枚のスライドに書き込める情報量として上の3つを目安にしてみてください。情報を増やしすぎない制約として捉えて守るようにしましょう。実際にスライドにすると下の図くらいの情報量になるかと思います。
TOPIC|科学は哲学
一つの疑問に対する答えは一つ、それが科学であると考えてしまいがちですが、そうではありません。たとえ同じ研究課題に取り組んだとしても、研究内容は人によって異なります。なぜなら、ある課題に対する研究手法は一つではないですし、そもそもなぜその課題に興味をもったのか、さらには、得られた結果に対してどんな議論を展開するのかも人によって変わってくるからです。つまり、何に興味を持つのか、課題に対するアプローチの仕方、得られた結果の何に着目するのか、それらをすべてまとめたものが一つの研究です。
「ある疑問に対してどのようにアプローチし、その結果、新たな解釈や概念が生まれたのか、それはどこまで一般化できるのか、どんな意義を見出すのか、それらを突き詰めて考えていくこと」その過程が科学であり、そこに研究のオリジナリティが生まれます。研究発表はそのことを考えさせてくれる絶好のチャンスです。たとえ先輩から引き継いだ研究だとしても、自分たちらしい研究発表を目標にしましょう。